昨年7月から、自筆の遺言書を法務局で保管する制度が始まりました。
そして、その利用状況について、法務省よりデータが公表(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00016.html)されています。開始から9ヶ月間での申請件数が16,721件で、そのうち保管することになったのが16,655件とのことです。遺言者自らが法務局まで出向いて、自筆の遺言書の保管申請をしたということもあり、補正などが必要があったとしても、保管にいたる割合が非常に高いことが分かります。
ただ、利用件数が多いかというのは、制度が始まったばかりで、この数字だけでは判断がつないと思いますので、隣に日本公証人連合会が発表(https://www.koshonin.gr.jp/news/nikkoren/%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%92%E5%B9%B4%E3%81%AE%E9%81%BA%E8%A8%80%E5%85%AC%E6%AD%A3%E8%A8%BC%E6%9B%B8%E4%BD%9C%E6%88%90%E4%BB%B6%E6%95%B0.html)しています公正証書遺言作成件数を比較のために、並べてみました。
公正証書遺言の作成件数は一昨年までは11万件程度推移していたのものが、昨年はコロナ禍で、外出控えがあったかもしれませんが、大幅に減っています。しかし、自筆証書遺言の令和2年の保管件数が12,576件で、これと令和2年の公正証書作成件数を合わせると、110,276件になります。
コロナが収束し、数年分のデータを比較しない限りは、はっきりとは言えませんが、遺言書を作成する人数は毎年11万人程度で推移し、これまでは公正証書遺言を利用していた人の一部が、自筆証書遺言の作成するようになったという仮説を立てることできます。
自筆証書遺言は、公正証書遺言と比べれば、思い立った時にすぐに作成でき、費用面でも安く済むというメリットがあり、法務局で遺言書の日付や署名・押印などの形式チェックはしてもらえる反面、法務局では遺言書の内容チェックはないため、遺言書の内容が不正確や曖昧と判断され、無効になる危険性もあります。
そのようにならないためにも、自筆証書遺言の場合でも、我々行政書士を含め、専門家に、文面のチェックや助言を依頼するという方法もありますので、検討してみてはどうかと思います。
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