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執筆者の写真小森智文

障害福祉の業務

 昨年より、複数の障害福祉事業所を営まれている会社から、業務の依頼を受け、障害福祉業務に携わるようになりました。

 私の兄達が知的障害者であるので、利用者側から障害福祉には関わっていましたが、実態を正確には把握しておりませんでしたので、業務の話をいただいた時は、嬉しいと思う反面、私が携われるだけの力量があるのか、心配でしかありませんでした。

 業務の話が来てから、この数ヶ月の間に7冊もの障害福祉関連の書籍を読みました。兄達が利用しているサービスが、どのようなものであるのか、私に送付されてくるサービス提供計画書、モニタリングとうものの位置付けなど、様々なことをやっと理解できました。

 ただ、サービスを受けている側は、この内容を全く理解していないでしょうし、また、サービス提供者や、それを管理している行政も、すべてを熟知するのは、非常に難易度が高いものだろうということを感じました。


 福祉サービスを提供する運営側の業務に携わって初めて分かったことは、あまりにも作成しなければならない書類の多さです。恐らく、この書類の多さは障害福祉だけでなく、介護でも同様の仕組みではないかと思います。

 介護や障害福祉などは、国や自治体からの援助を受けて成り立っていることからも、当然、備えておかなければならない書類もあると思います。


 幼稚園の送迎バスで降車確認忘れから事故に発展したことを受け、障害福祉事業所の送迎車両でも3列シートがあるものは、補助金を出すので、降車確認をする装置を設置すべきという通達が出されています。また、障害福祉などは厚生労働省が管轄し、来年度には、自然災害等が発生しても、事業を継続的に運営していくための防災体制と運営体制を備えた計画書の策定が義務化されるにもかかわらず、国土交通省からは、洪水時の対策計画書を作成し、毎年訓練を実施の上、報告を行うというような指示がなされるのには、些か理解に苦しみます。


 利用者の家族の立場からすれば、必要最低限の書類だけにして、その書類作成に向けるエネルギーを、利用者に向け、より充実した生活が送れるようにして欲しいと思います。そして、行政書士の立場からすれば、書類ばかり作成させ、中身の伴わないようなものでは意味はなく、行政が書類を作成させるにしても、重複する部分は極力一本化するように、しっかりと調整・管理する役目が必要だと思います。

 いくら、政府が介護・福祉職員の給与面の改善をするための予算をつけても、働いている人達にとってみれば、行政を向いて働くのか、利用者の方を向いて働けばいいのか分からなくなり、この書類作成等が重みになって、離職に繋がりかねないと思います。

 職員の方が働き甲斐を感じられるように、必要最低限の書類だけに留め、何でもマニュアル化ではなく、しっかりとその場で臨機応変に対応できるように考えられる職員教育の仕組みを作っていかなければ、労働人口が減少している中で、福祉サービス自体がまわらなくなってしまうだろうという懸念を抱いてしまいます。


 兄達は現在も障害福祉施設を利用継続中で、他界した両親は最後は介護施設を利用した家族の立場として、私は福祉事業所で働いている職員の方々に対しては、常日頃から感謝の念しかありません。今後、自身が年老いていき、福祉サービスを受ける側になることを考えると、将来を見据えた運用方法を検討していただきたいと思います。

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